「人の言うことを聞くべからず」+

坂本晶と申します。はてなでは「坂本晶の『人の言うことを聞くべからず』」をやっています。こちらはサブブログとして、古代史、神話を中心に扱っていきます。『水瓶座の女』という小説を、太陽出版から販売しております。読んで頂けたら嬉しいです。

ヤマトタケルは開化天皇である(87)~出自不明の伊邪那「伎」大神

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古事記』の伊邪那「伎」大神の禊の場面。

ここを以ちて伊邪那伎大神詔りたまはく、「吾はいなしこめしこめき穢き国に到りてありけり。かれ、吾は御身の禊せむ」とのりたまひて、竺紫の日向の橘の小門の阿波岐原に到りまして、禊ぎ祓へたまひき。
かれ、投げ棄つる御杖に成りし神の名は、衝立船戸神、次に投げ棄つる御帯に成りし神の名は、道之長乳歯神。次に投げ棄つる御嚢に成りし神の名は、時量師神。次に投げ棄つる御衣に成りし神の名は、和豆良比能宇斯能神。次に投げ棄つる御褌に成りし神の名は、道俣神。次に投げ棄つる御冠に成りし神の名は、飽咋之宇斯能神。次に投げ棄つる左の御手の手纒に成りし神の名は、奥疎神、次に奥津那芸佐毘古神。次に奥津甲斐弁羅神。次に投げ棄つる右の御手の手纒に成りし神の名は、辺疎神。次に辺津那芸佐毘古神次に辺津甲斐弁羅神
右の件の船戸神より以下、辺津甲斐弁羅神より以前の十二神は、身に著(つ)けたる物を脱くによりて生(な)りし神なり。

 

「吾はいなしこめしこめき穢き国に到りてありけり」は「吾者到二伊那志許米(上)志許米岐此九字以音。穢国一而在祁理。此二字以音。」である。この文には二重の仕掛けがある。
「志許米(上)志許米」と(上)があることで「志許志米許米(しこしまこめ)」となる。これで伊邪那「伎」大神は黄泉国とは無関係となる。
しかしそれならば「志」と「許」がある。

ヤマトタケルは開化天皇である(86)~伊邪那岐命の後ろから来る者の正体 - 「人の言うことを聞くべからず」+

で述べたように「予母都志許売」と関係があるならば、「詔」を前回述べたように単独で「云う」を意味しないと解釈するのでなく否定の意味と捉えるとその後の「岐」も二重否定で肯定されてしまう。「岐」と「伎」は無関係のはずである。
このように考えてしまうのは、「云って」いないのに(上)で「志許米志許米」の文字順を乱しているからである。文字順を乱す必要がないのにそれをすることで、「岐」と「伎」が関係あるという解釈にミスリードされてしまう。
黄泉国の「予母都志許売」は「以音」である。だから「志」と「許」が「以音」である以上「予母都志許売」、つまり「其妹」伊邪那美命と関係があると考えられる。しかし「云って」いないのだから伊邪那「伎」大神と「其妹」伊邪那美命の関係は証明されていない。
「岐」も同様。「以音」で関係が否定されているが「云って」いないために関係の有無が証明されない。「在祁理此二字以音」も同様。伊邪那「伎」大神はその属性が辿りにくい。

「竺紫の日向の橘の小門の阿波岐原」は「竺紫日向之橘小門之阿波岐
此三字以音。
原」で「竺紫日向」もしくは「日向」、「橘小門」もしくは「小門」、「阿波岐」が否定されている。
衝立船戸神から辺津甲斐弁羅神まで、「成りし神の名は」は全て「所成神名」であるので二重否定である。つまり神の名前は全て「御名」である。
道之長乳歯神で「道」が否定されている。しかし道俣神には否定の字がない。つまり「俣」は否定の意味の字だということである。和豆良比能宇斯能神は「和豆良比能宇斯能神此神名以音。」、飽咋之宇斯能神は「飽咋之宇斯能神自宇以下三字以音。」である。
どちらも「宇斯能」が「以音」となっているがどういうことだろう?「能」は「之」が否定であるのに対して肯定の意味の「の」である。ということは「以音」で意味を無くした「宇」と「斯」が意味のある字になるということかもしれない。
奥疎神以下だが、奥津那芸佐毘古神は「奥津那芸佐毘古神自那以下五字以音。下效此。」、奥津甲斐弁羅神は「奥津甲斐弁羅神自甲以下四字以音。下效此。」である。
奥疎神奥津那芸佐毘古神、奥津甲斐弁羅神は共通していない可能性があることを指摘しておく。「津」は「奥」の否定で、奥疎神の「疎」が否定の意味を持たない限り同類と見做すことはできない。奥疎神には「奥疎神訓奥云於伎。下效此。訓疎云奢加留。下效此。」としか書かれていない。
「右の件の船戸神より以下、辺津甲斐弁羅神より以前の十二神は、身に著(つ)けたる物を脱くによりて生(な)りし神なり」は「右件船戸神以下、辺津甲斐弁羅神以前、十二神者、因身之物生神也」である。「身之物」で「御身」を表すが、そこから「所生」で生まれていないのである。現時点では奥疎神奥津那芸佐毘古神、奥津甲斐弁羅神は別の属性を持つと考えるべきである。辺疎神辺津那芸佐毘古神辺津甲斐弁羅神も同様である。

ここまで長くなってしまった。
次回、禊の場面を大幅にカットして、天照大御神月読命建速須佐之男命の誕生を見ていこう。

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