「人の言うことを聞くべからず」+

坂本晶と申します。はてなでは「坂本晶の『人の言うことを聞くべからず』」をやっています。こちらはサブブログとして、古代史、神話を中心に扱っていきます。『水瓶座の女』という小説を、太陽出版から販売しております。読んで頂けたら嬉しいです。

ヤマトタケルは開化天皇である(47)~アマテラスとスサノオの誓約のカラクリ

シリーズ第一回目から読みたい方はコチラ↓

sakamotoakiraf.hateblo.jp

前回述べたヒコホホデミについて語るには、なぜ私が『古事記』の丹波系と出雲系の区別に気づいたのかを語るのがいいだろう。結論を先に述べれば、ヒコホホデミを丹波系とした見解とは逆になる。

アマテラスとスサノオの誓約(うけひ)で、スサノオがアマテラスの珠から生まれた神は、正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命、天之菩卑命、天津日子根命活津日子根命熊野久須毘命の五柱の神である。

『書紀』では、本文は正或吾勝速日天忍穂耳尊天穂日命天津彦根命、活津彦根命、熊野櫲樟日命で、ほぼ
同じである。

異伝第一では、正吾勝勝速日天忍骨尊、天津彦根命、活津彦根命、天穂日命、熊野忍踏(くまのおしほみ)命である。忍穂耳が忍骨となり、熊野櫲樟日命が熊野忍踏命となっている。
天津彦根、活津彦根が二番手、三番手となり、天穂日が四番手になっている。

異伝第二が天穂日命、正吾勝勝速日天忍骨尊、天津彦根命、活津彦根命、熊野櫲樟日命となっている。天穂日と天忍骨が逆になっている。

異伝第三が勝速日天忍穂耳尊天穂日命天津彦根命、活津彦根命、熯之速日命、熊野忍踏命、またの名は熊野忍隈命となっている。
熯之速日命が加わり、五柱から六柱の神になっている。しかも熊野忍隈命というのは、この神が神功皇后に殺された忍熊王だというのが『書紀』の主張だということである。

以上、異伝は三つだが、実は他に異伝第四とすべきものがある。
四つのテキストは天岩戸神話の前にあるテキストだが、天岩戸神話の後、スサノオが追放される前にアマテラス(正確には日神)に挨拶に行き、六柱の神を生む。このテキストは本文にある。
生まれた神は正吾勝勝速日天忍穂根尊、天穂日命天津彦根命、活目津彦根命、熯速日命、熊野大角(くまののおおくま)命である。
「忍骨」が「忍穂根」となり、活津彦根が活目津彦根となっている。「活目」とは活目入彦五十茅天皇と呼ばれる垂仁天皇のことである。
そして熯之速日の「之」が取れ熯速日命となり、熊野大角、つまり

ヤマトタケルは開化天皇である⑩~『海部氏系図』に見るヤマトタケルの姿と熊野の神 - 「人の言うことを聞くべからず」+

の「熊野の大熊」が生まれたというのが『書紀』の主張なのである。
そして、この六神を私はこう読んだ。すなわち、
正吾勝勝速日天忍穂根尊ー天津彦根命ー熯速日命
天穂日命ー活目津彦根ー熊野大角命
とである。
どちらが丹波系で、どちらが出雲系かだが、異伝第一で天津彦根、が二番手、活津彦根が三番手、天穂日が四番手となり、異伝第二で天穂日と天忍骨が逆になっているのを見ると、天津彦根丹波系だと考えられそうである。
異伝第二以降の「忍骨」が重要そうに見えるが、これは引っ掛けと考えればいい。つまり「忍穂耳」も「忍骨」も同じなのである。それに気づかないと、天津彦根が出雲系と互換性のある丹波系の神だと気づかない。
「忍踏」は「忍骨」と同じように見えて違う。
さらに言えば、熊野忍隈は忍熊王に見えてそうではない。忍熊王なら「忍熊」と書かれなければならない。
以上を考えれば、異伝第一で「忍踏」、第二で「櫲樟日」、第三で「忍踏=忍隈」となる理由がわかる。天穂日=活津彦根は本来忍熊王だが、一連の作業で忍熊王でなくなったのである。
そして丹波系の垂仁天皇にあたる人物が、「熊野の大熊」にされた。「忍骨」=垂仁天皇にあたる人物は、出雲系の人物にすり替えられた。それが「忍穂根」である。
この「忍穂根」が熯速日だというのが、『書紀』の主張である。この熯速日が何者かを知るため、次回、再びカグツチの神話を検証する。


メインブログ坂本晶の「人の言うことを聞くべからず」もよろしくお願いします。