「人の言うことを聞くべからず」+

坂本晶と申します。はてなでは「坂本晶の『人の言うことを聞くべからず』」をやっています。こちらはサブブログとして、古代史、神話を中心に扱っていきます。『水瓶座の女』という小説を、太陽出版から販売しております。読んで頂けたら嬉しいです。

ヤマトタケルは開化天皇である(40)~訂正①・石之日売の正体

シリーズ第一回目から読みたい方はコチラ↓

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仁徳天皇の皇后石之日売は、葛城の曽都毘古の娘である。
葛城の曽都毘古は、健内宿禰の子として知られている。
しかし『古事記孝元天皇の条には、健内宿禰の子として葛城長江曾都毘古とある。
「長江」の字が入っており、「曽」と「曾」の字の違いがある。
したがって葛城の曽都毘古と葛城長江曾都毘古は違い、石之日売は健内宿禰の孫にあたらない。

ヤマトタケルは開化天皇である(33)~磐之姫の正体 - 「人の言うことを聞くべからず」+

で見た桑田の玖賀媛が丹波系の石之日売の分身であり、また前回見たように、丹波系の媛の事蹟を出雲のものに付け替えていることを考えると、石之日売は元々丹波系の人物と考えることができる。
そして石之日売の八田若郎女(『書紀』では矢田皇女)への嫉妬が、『書紀』の石の日売の属性の付け替えを暗示しており、さらに『古事記』では仁徳と石之日売が仲直りしているのに対し、『書紀』では磐之媛が別居したまま死に、矢田皇女が皇后になっていることから、八田若郎女が何者なのかを知る必要がある。

八田若郎女は、仁徳天皇の異母妹である。宮主矢河枝比売の娘であり、兄に仁徳の前に皇太子になった宇遅能和気郎子、妹に速総別(はやぶさわけ)と婚姻して仁徳に殺される女鳥王がいる。そして、
「またその矢河枝比売の弟、袁那弁郎女(おなべのいらつめ)を娶して生みましし御子、宇遅之若郎女。」
と『古事記』にある。宇遅若郎女は仁徳の妃になっている。
名前の共通は近親婚の暗示である。だからこの場合、宇遅若郎女は宇遅能和気郎子の配偶者である可能性を考えなければならない。
ところが、二人は名前が十分に共通していないのである。「能」と「之」、「和気」と「若」の違いがある。
また「その矢河枝比売」とあるように、宮主矢河枝比売となっていない。だから宇遅若郎女は宇遅能和気郎子と近親婚の関係にない。

そして『書紀』でも「宅姫の妹、小甂媛」と『古事記』と同様の手を使っているが、宅姫が出雲系を表す「姫」表記となっているのに、小甂媛は丹波系の「媛」表記になっている。ここでも出雲系の人物に丹波系の属性が付けられている。
つまり、石之日売と八田若郎女は本来同一であり、『古事記』では石之日売は仁徳と添い遂げる存在、八田若郎女は孤閨をかこつ存在に分離した。女鳥王も石之日売の分身だが、これは殺される存在となった。宇遅若郎女は、出雲系の女性を丹波系に擬する存在である。ならば宇遅能和気郎子とは仁徳の分身で、宇遅若郎女との近親婚があったように思わせるのに本来の存在意義があったと考えることができる。ならば、

ヤマトタケルは開化天皇である(32)~「大鷦鷯」はミソサザイ、「大雀」はすずめ - 「人の言うことを聞くべからず」+

で述べた、磐之姫が皇后である間の仁徳が平群木菟だというのも逆で、矢田皇女を皇后にしてからが出雲系の仁徳である。なおこの際、平群木菟を出雲系と断定するのも保留しよう。平群氏については後に書くだろう。

次回も訂正、そして今回の仮説の証明として、仁徳が何者なのかをもう一度見てみよう。

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