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「人の言うことを聞くべからず」+

坂本晶と申します。はてなでは「坂本晶の『人の言うことを聞くべからず』」をやっています。こちらはサブブログとして、古代史、神話を中心に扱っていきます。『水瓶座の女』という小説を、太陽出版から販売しております。読んで頂けたら嬉しいです。

ヤマトタケルは開化天皇である(32)~「大鷦鷯」はミソサザイ、「大雀」はすずめ

シリーズ第一回目から読みたい方はコチラ↓

sakamotoakiraf.hateblo.jp

『書紀』仁徳紀には、


この天皇が生まれられたとき、みみずくが産殿に飛び込んできた。翌朝父の応神天皇武内宿禰を読んで、「これは何のしるしだろうか」と言われた。宿禰は答えて、「めでたいしるしです。昨日私の妻が出産する時、ミソサザイが産屋に飛び込んできました。これもまた不思議なことです」
といった。そこで天皇は、「わが子と宿禰の子とは同じ日に生まれた。そして両方ともしるしがあったが、これは天のお示しである。その鳥の名をとって、互いに交換して子どもに名づけ、後のしるしとしよう」とおっしゃった。それでサザキ(ミソサザイ)の名をとって太子につけ、大鷦鷯尊となった。ツク(みみずく)の名をとって大臣の子に名づけ、木菟宿禰といった。これが平群臣の先祖である。

 

とある。大鷦鷯と平群木菟は名前を交換しているので、『書紀』の仁徳は平群木菟であり、平群木菟が仁徳となる。

それでは『書紀』の仁徳が平群木菟のことなのかと言えば、そうではない。ある時点で別人に変わっている。
どの時点でそうなっているかを述べる前に、『古事記』と『書紀』の仁徳の名前の違いについて述べよう。
古事記』の仁徳は大雀天皇である。
『書紀』は大鷦鷯天皇である。この違いは、『古事記』が『書紀』より古い文献であり、古い表記を引用したためだと理解されている。
しかし、そんなことはないのである。

仁徳天皇は、異母妹の女鳥王を妻としようとして、弟の速総別(はやぶさわけ)王にその仲介をさせる。しかし速総別は逆に自分が女鳥王と契ってしまう。
女鳥王は速総別に、仁徳への謀反を勧める。その時に歌った歌が、


雲雀は 天に翔る 高行くや 速総別 鷦鷯取らさね

 

である。「鷦鷯」の字は、『古事記』の書かれた時代に既にある。
この意味は、「大雀」とは「おおさざき」と読ませても、実はすずめであるということである。雀も、『記紀』を読み解く上で重要なキーワードである。しかしこのシリーズで雀について語るのは、ずっと先になるだろう。

前回の

ヤマトタケルは開化天皇である(31)~新羅の王?仁徳天皇 - 「人の言うことを聞くべからず」+

で述べたように、『古事記』の仁徳は出雲系のサホヒコの子である。
ならば「大鷦鷯」とは、「大雀」とは別人であり、丹波系である。
そして「大鷦鷯」が平群木菟で、ある時点で別人に変わっていることは、先に述べた。
それがわかる理由は、皇后である。
古代史に詳しい人なら、仁徳の皇后は石之比売(いわのひめ)と答えるだろう。
しかし『書紀』では、仁徳の皇后は二人いるのである。
仁徳が生きている間に、石之比売は死ぬ。その後仁徳は矢田皇女を立后する。
古事記』には、仁徳生存中に石之比売が死んだとは書かれていない。この時に、平群木菟である仁徳と、本来の仁徳が入れ替わっているのである。
次回は、石之比売が何物かを見ていこう。


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